2010年09月03日
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ハウルと古代

Written By: トーノZERO連絡先

「ハウルの動く城というのは実に面白い映画だ。興味深い。ワクワクするね」

「どのあたりが?」

「ソフィーを主人公として、ソフィー視点で見ていると分かりにくいことだが、実はハウルというキャラが面白い」

「というと?」

「キムタクが声を演じる色男であり、凶悪な動く城の主というイメージがまずあると思う」

「うん。色男だから声がキムタクって安直な人選だよね」

「いやいや、違うんだ」

「というと?」

「ハウルというのはまず出番が素晴らしい。女の子をこのようにエスコートしたいという男の願望そのものが描かれる。絡まれた地味な女の子を助けて空中散歩して、相手をドキドキさせて分かれたい」

「まあ、そうかもね」

「でもさ。その金髪でかっこいいハウルは本当のハウルではないわけだ」

「本当は黒髪だね」

「真のハウルは黒髪になったぐらいで落ち込むへっぽこ野郎だ。誇れるのは家族に対する愛だけだ」

「愛か」

「愛だ」

「しかも、醜悪な怪物に変身する」

「なるほど。格好いい美形のハウルは作られた虚像であり、本当は怪物にすらなるへっぽこ野郎なんだね」

「そうだ。だからさ。ある意味で虚像の否定という映画なんだ」

「否定されるのか」

「動く城だって、大砲があって凶悪に見えるけど、本当は偽物だ。火を吐くことはない」

「それも虚像か」

「いくら虚勢を張っても、最後は女に助けられる必要があるへっぽこ野郎がハウルという男だ」

「なるほど」

「ならばその声を平然と演じたキムタクってどういう男だろうか?」

「さあ、どういう男だろうね」

「かっこいいルックスはいわば虚像であると自覚した上で、おそらく格好良くはない本当の自分があるのだろう」

オレと古代 §

「で、その話がなぜ古代と関係あるの?」

「実写版の古代がキムタクだからだ」

「それだけ?」

「だから実写版も見ない内から捨てたものではないよ、俗な受けを狙っているだけの人選とも言えないよ。という話もあるのだが、それは本題ではない」

「というと?」

「実は古代もハウルと同じだからだ」

「ええっ?」

「まず、古代はルックスが格好良い」

「うん」

「でも、兄さんの復讐という仮面をかぶった好戦的な少年だがこれは虚像だ」

「虚像か」

「彼は昆虫などが好きなもっと優しい少年なのだ。家族愛に溢れたね」

「ああ、そうか」

「しかも、ガミラスのパイロットが捕虜になれば殺しに行くような殺人鬼にも化ける」

「怪物にもなれるということだね」

「だからさ。古代というのは、実は国家の秩序よりも家族愛の男であって、そのためにせっかく得た捕虜まで殺そうとする」

「でも捕虜が自殺しようとすると命を助けて一貫しない」

「鬼にはなりきれないんだよ。本質的には優しい男なんだ」

「雪に死なれるともう何も出来ないで、死体をイスに座らせて地球を見せちゃうぐらい、女へ依存してるし」

「そうだ」

「そうか。かっこいいように見えるけど、それは虚像。怪物にもなれる男であり、けっこう情けないところを見せるへっぽこであり、女に依存している。確かにハウルと古代は似ているね」

「だからさ。ハウルを上手く演じたキムタクで古代は良いのじゃないかと思う。というか、ハウルを上手く演じたキムタクだからこそ、古代役でいいような気がする」

宇宙戦艦ヤマト

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